建物表題登記の自己申請

建物表題登記は自分で申請できるのか?と聞かれることが多々あります。答えはYESです。
但し、時間と条件が許せばとなります。

例えば、ご自身で材料を調達しDIYで建物を建てた場合には、色々調べながら申請をすることは可能です。
少し無茶苦茶な言い方ではありますが、誰かに建築工事を発注せずにどこからもお金を借り入れしない場合には、時間と条件に縛られないということです。

まずは時間のお話から。
建物表題登記は時間に追われることが多いです。それは、建物表題登記が完了しないと、抵当権などの権利の登記ができないため、金融機関が融資の実行をできないからです。建物表題登記は建物がその用途に利用できる状態になっていて、その建物が誰の所有物かを証明しないと申請できません。そのため、申請書類の中に「工事完了引渡証明書」という書類があります。これは、建築会社があなたに建物を引渡したことを証明する書類です。多くの場合はこの時点では、建築会社に費用を全額払っていない状態です。お金を全額貰っていないのにあなたに先行して引渡した証明をしてしまうため、建築会社は当然不安になります。早く建物表題登記を完了して銀行から融資を受けて残りのお金を払ってもらいたいわけです。また、建築工事の請負契約書の中には、完成後何日後までに残代金を支払うという条項がある場合もあります。その場合も時間に制限があります。これが時間のお話です。ではなぜ、土地家屋調査士に委託すると時間の問題が解消できるのか?それは、書類作成や申請までの正確性とスピードが違うのは当然ですが、不動産登記規則の中にこのような条文があります。

建物表題登記に必要な書類はこちら☞

不動産登記規則第93条
登記官は、表示に関する登記をする場合には、不動産登記法第29条の規定により実地調査を行わなければならない。
(但し書き)
申請に係る不動産の調査に関する報告(土地家屋調査士が代理人として登記を申請する場合において、当該土地家屋調査士が作成したものに限る。)その他の申請情報と併せて提供された情報により登記官が実地調査をする必要がないと認めたときは、この限りでない。(一部省略)

要約すると、表示の登記の申請があったら登記官は現地を確認してね。でも土地家屋調査士が報告書を添付していれば現地の確認を省略できるよということです。この権限が、土地家屋調査士にとっては非常に大きいと考えています。この現地確認の省略によって登記完了までが短縮できることになります。

続いて条件についてですが、これも建築会社の意向が大きいです。時間のお話でも登場した「工事完了引渡証明書」には、建築会社の実印が押され、さらには印鑑証明書も添付されます。この実印を押された文書に印鑑証明書が添付されているというのは、非常に大きな効力を持つ書類になります。みなさんが、実印を押して印鑑証明書を添付するケースを考えて頂くとよくわかるかもしれません。この書類があれば、違う第三者の名義に登記することさえ可能となり得ます。この書類を建築会社は年間に数十回、数百回と発行するため、細心の注意を払う必要がでてくるのです。先行して「工事完了引渡証明書」を発行する以上、少しでもリスクを減らすため信用できる人に託したいのです。ここでの信用というのは、もちろん人間性などのことではなく、正しく確実に登記を完了させるという信用です。
このような理由で、自己申請の場合には、建築会社が「工事完了引渡証明書」と「印鑑証明書」を先行して託してくれないケースもでてきます。

以上のように、「工事完了引渡証明書」を先行して託してもらうことができ、かつ時間内に登記を完了できる場合に、自己申請のスタートラインに立てます。

申請書類の作成については、数回法務局に足を運ぶことができるならば可能だとは思います。しかしながら、土地の形や建物の形が四角形などの整形地ではなく複雑な場合は、かなりの根気が必要かもしれません。